米雇用統計特別レポート

掲載日:2018年09月03日

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2018年8月米雇用統計(9月7日発表)直前レポート

3月 4月 5月 6月 7月 8月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 15.5 17.5 26.8 24.8 15.7 19.1
失業率(%) 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 3.9
時間給賃金(前月比) 0.2% 0.1% 0.3% 0.1% 0.3% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 2.6% 2.6% 2.7% 2.7% 2.7% 2.8%

7月雇用統計のポイント

① 8月24日、ジャクソンホールの講演でパウエルFRB議長は「米国経済は強く、段階的な利上げが必要」との認識を示した一方、「米国経済が過熱している兆候はない」とも発言。一方、米4-6月期GDP改訂値は前期比+4.2%、さらに8月の消費者信頼感指数も2000年以来の高水準となるなど堅調な米国経済を確認しており、今回の雇用統計であらためて堅調な労働市場を確認すれば、9月FOMCの利上げ観測を一段と確実にするだけに注目されます。

② 米中を中心にした貿易問題の影響が企業の雇用に影響を及ぼしているか、一方4-6月期GDP改訂値では企業の設備投資が上方修正されており雇用増加に結びついているか、強弱双方の材料に対する影響が注目されます。

③ パウエルFRB議長が「米国経済が過熱している兆候はない」と発言しているものの今回の雇用統計で企業が優秀な人材確保に向けて時間給賃金を高めるなどの優遇策を進めているのか、時間給賃金(予想:前年比+2.8%)の上昇が顕著となれば9月利上げに加え、年内12月の利上げの可能性が高まる可能性もあるだけに注目されます。米国の想定される中立金利は2.9%程度と米FRBの利上げも9月以降、来年に向けて天井感も見られるだけに、こうした観測を覆す賃金インフレの兆候など予想以上に強い内容となるか注目されます。

④ 先週ナスダックやS&Pは史上最高値を更新したほか、NYダウも1月26日の史上最高値まで1.8%ほどの水準まで上昇、雇用統計の結果に対するNY株式市場の反応が注目されます。

⑤ 雇用統計の結果に対するドル円の反応が注目されます。貿易問題やトランプ大統領のロシア疑惑に絡む報道などに対する耐性を強めつつあり、あらためてファンダメンタルズが注目される相場に回帰するのか注目です。ドル円は110円台半ばを下値に112円手前のレンジ内取引が続く中、こうしたレンジを抜ける契機となるか注目されます。

米GDP成長率 前期比(%)

米GDP成長率 前期比(%)

米国経済の堅調地合いが継続する一方、英国ではEU離脱交渉に不透明感が残り今週4日から夏季休会明けで再開される英議会での離脱交渉を巡る与野党内の議論の行方も注目されます。先週EUバルニエ首席交渉官が英国のEU離脱に理解を示すような交渉進展に前向きな考えを示したことでポンドが対主要通貨で反発しましたが、その後、伸び悩み反落に転じています。また、ユーロも8月28日の1.1733ドルを高値に先週末31日には1.1585ドルへ下落するなどドルの対主要通貨での堅調を回復しています。そのため、クロス円の下落の影響があるもののドル円は110円台半ばを下値に112円手前を上値とするレンジ内取引が続いています。こうした状況から脱却できるか、時間給賃金の上昇が予想を上回る堅調な結果となればドル円は再度111円台半ばを上抜け112円台回復を目指す可能性もあるだけに注目です。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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